2015年11月3日

2万5千年の荒野? その1

Lancetの福島原発事故についての総説のまとめです。

Health effects of radiation and other health problems in the aftermath of nuclear accidents, with an emphasis on Fukushima.
Lancet. 2015 Aug 1;386(9992):479-88.
Hasegawa A, Tanigawa K, Ohtsuru A, Yabe H, Maeda M, Shigemura J, Ohira T, Tominaga T, Akashi M, Hirohashi N, Ishikawa T, Kamiya K, Shibuya K, Yamashita S, Chhem RK.

2015年10月21日

その1

今回は録音機器(旧式のipod touch)の不調により、勉強会の様子が録音されていないため、かわうその準備原稿(というほどたいしたものはありませんが)から再構成します。というわけで、合いの手はありません。ご了承下さい。かば、きりん両先生の発言は想像して補っていただければと思います。
今回は非常に好き勝手語っていますが、文責は、すべて私、かわうそにあるということです。

かわうそ:今回は、Lancetの福島原発特集からです。つい最近、Epidemiologyに福島で甲状腺癌が増加しているという論文が出てましたね。恐ろしいことに一部を除く世間では全くニュースにはなっていませんが。とにかく、それをきっかけにして以前コピーしておいたこの文献を読みなおしましたので報告したいと思います。
"From Hirosima and Nagasasi to Fukushima"という3回シリーズのうち、2を取り上げます。筆者は主に福島大学の先生方です。

まず、現在全世界で437の原発が稼働しており、さらに発展途上国で建設が進んでいます。これは増加するエネルギー需要があるためある程度仕方がないこと、と書いてありますが…。
これについてちょっと言わせて下さい。もちろん私はこの分野の専門家ではありませんので、かなり的はずれな意見になっているのかもしれませんけど、私は化石燃料だけでは足りないから原子力エネルギーを使わないといけないとか、地球温暖化を防ぐためにCO2を削減しないといけないから原発の方がいいとかいう意見には懐疑的なんです。何処か変です。つじつまがあわない。
まず、こういうのって、施設の建設費とか維持費とか、燃料がいくらで購入できるとか、発電の時にどれだけCO2が排出されるとかだけの問題ではないはずですよね。結局、原子力エネルギーだといっても、燃料の発掘や運搬、精製などのどこかの段階で化石燃料に依存しているはずですよ。そういうものをトータルで見た場合、本当に原子力エネルギーがいいのかなって、私は疑問に思います。だいたい、放射性廃棄物をどうするのかという問題も全く解決されていないので、そもそもそのコストを算出することってできないんじゃないかと思うんですけど。
…化石燃料が枯渇するから?そうかもしれないですけど、放射性物質の方が少なくないですか?
…いやいや、やめて下さいよ。高速増殖炉とか夢物語ですよ。
かといって、再生可能エネルギーがあるじゃないか、というわけでもありません。例えば太陽電池を作るときに必要なエネルギーが、その後きちんと回収されるんでしょうか?水力発電のダム建設で壊された環境とか、水没した村に伝わる不思議な慣習とかはコストでは表せなくないですか?まあ、これも門外漢なのでわかりませんが。
…そうですね。たしかに、どこまでを含めてトータルとして考えるのか?という定義の問題なのかもしれません。

脱線しましたが、とにかく原発は必要なので使われているわけで、我々医療従事者としては、nuclear accidentが起きた時の健康リスクについて、広い範囲で理解しておく必要があります、と書いてあります。

その2へつづく